相見積もりの取り方 同一条件書の作り方と比較観点リスト

解体業者の選び方・見積もり比較

解体の相見積もりは価格競争を起こすだけが目的ではありません。工事範囲と数量と前提条件をそろえ、追加費の発生源を見える化することが本質です。条件がばらばらだと安く見えても後から追費が増えがちです。ここでは同一条件書の作り方と提出運用、比較の観点を体系的にまとめます。

相見積もりの目的を最初に定義する

目的は三つです。工事範囲の確定、数量と単価の妥当性検証、追加費条件の明文化です。価格だけで選ぶのではなく、届出や近隣対応や産廃処分の品質まで含めて総合評価を行います。目的がぶれると質問対応や仕様変更が連発し、工程も費用も不安定になります。

同一条件書の設計手順

まず現況写真と略図を用意し、解体範囲と付帯物と整地仕様を文章で固定します。石綿の有無が未確定なら調査の実施と結果の反映方法、暫定費の扱いを記載します。搬出経路と前面道路幅員、電線や隣地との離隔、交通誘導の有無を前提条件に入れます。届出の代行範囲や写真台帳とマニフェストの提出水準、工期と作業時間帯、支払条件も統一します。

数量と根拠の書き方

数量は延べ床面積と階数と構造を基準に、付帯物は長さや面積や個数で示します。基礎の撤去有無と厚み、土間コンクリートの面積、ブロック塀の段数と長さなどを具体化します。図面が古い場合は現地計測値を優先し、算定根拠を条件書に追記して各社が同じ土俵に立てるようにします。

提出と質疑の運用ルール

見積は三社以上へ同時配布し、提出期限と書式を統一します。質問はメールで受け、回答は全社へ共有します。現地再確認の依頼があれば同じ時間帯に調整し、回答差をなくします。条件変更が出た場合は改訂版として管理し、旧版を破棄して混乱を防ぎます。

比較観点のリスト

  • 届出と近隣対応の範囲と標識の内容
  • 石綿の前提と暫定費と精算方法
  • 処分先の実在性とマニフェスト運用
  • 仮設養生の水準と交通誘導の体制
  • 工期と作業時間帯と予備日の設定
  • 主任技術者の配置時間と資格
  • 請負賠償と工事保険の補償限度額
  • 追加費の発生条件と単価と上限
  • 写真台帳の見本と提出タイミング

価格差の理由を読み解く

極端に安い見積は付帯物が本体に含まれていたり、仮設や近隣対応が省略されている場合があります。処分費が一式で根拠が曖昧、石綿の扱いが未記載、交通誘導が想定外になっているなどは典型です。反対に高い見積は狭小地の手壊し割合や搬出回数の見込みが保守的であることが多く、根拠を質疑で明らかにすると調整余地が見えてきます。

契約前の最終確認

採用候補が絞れたら、条件書と見積の整合を一行ずつ照合します。地中埋設物や井戸や浄化槽の扱い、共用境界の復旧方法、道路占用の要否、作業時間帯の制限など追加費の芽を契約条項に落とします。写真台帳とマニフェストの提出、水撒きや防音の具体策、苦情対応窓口の明示まで書面化し、署名済みの条件書を契約書の添付資料とします。

まとめ

相見積もりは価格表の収集ではなく条件の統一と検証のプロセスです。条件書で土俵をそろえ、質疑を共有し、比較観点で総合評価を行えば、安定した工期と納得性の高い価格に近づきます。最終的には契約書へ条件を写し込み、後からの認識相違を生まないことが成功の鍵になります。

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