解体前に必要な届出チェックリスト 建リ法と石綿調査と特定建設作業

空き家解体の手続き

解体工事は着工直前で書類不足が見つかりやすい領域です。自治体の運用や締め切りは細部が異なるため、工程の早い段階で届出の要否と提出順序を確定しておくことが安全です。本稿では初めてでも迷わないように、建設リサイクル法と石綿の事前調査と特定建設作業の三本柱を中心に整理します。

届出の全体像を先に描く

まず物件の延べ床面積と構造と築年を把握し、図面と現地のギャップを埋めます。次に工期と重機使用の有無を暫定で決め、どの届出が必要かをマッピングします。提出先や期限は自治体で違うため、工程表に締切日を落とし込み、窓口が休みになる期間を避ける計画が有効です。見積依頼時点で届出の前提条件をそろえると後戻りが減ります。

建設リサイクル法の届出

延べ床面積が八十平方メートル以上の建築物を解体する場合は届出が必要になります。発注者または元請が着工前に提出し、分別解体と再資源化の計画を記載します。地域により提出期限はおおむね七日前程度が多く、工程変更時は変更届が求められる運用が一般的です。対象外の小規模でも分別方針を文書化しておくと処分費の透明性が高まり、産廃のトレーサビリティ確保に役立ちます。

石綿の事前調査と報告

全ての解体と改修で石綿の事前調査が前提になります。図面と仕上げ表と現地確認を突き合わせ、疑義があれば分析で成分を確認します。有資格者による調査が一般化しており、結果は現場での掲示と所定の報告が求められます。含有が判明した場合は隔離養生や負圧集じんや飛散防止の散水計画を作成し、作業区分に応じた保護具と監視体制を工程に組み込みます。近隣説明でも石綿対策の方針を明確に伝えると安心感が高まります。

特定建設作業の届出

ブレーカや油圧ショベルなどを継続して使用する場合は特定建設作業に該当します。多くの自治体で開始七日前までの届出が必要になり、作業時間帯や騒音振動の基準に従う義務があります。現場掲示や苦情窓口の明示も求められるため、標識の内容と連絡先を早めに確定しておきます。工程上の休止日や夜間作業の有無も届出書に反映し、元請が責任を持って提出します。

届出と同時に進める付随手続き

道路の使用や占用が必要な場合は交通規制図と誘導員の配置を含めて申請します。電気とガスと水道の停止と計器撤去は各社の都合で日程が埋まりやすいため早期に依頼します。電話やケーブルの撤去や、浄化槽の廃止届の要否も確認します。産業廃棄物の収集運搬と処分は委託契約を締結し、マニフェストの運用を現場と共有します。埋蔵文化財包蔵地や景観条例の該当有無を事前に照会しておくと、着工直前の差し戻しを避けられます。

提出ミスを防ぐ実務チェックリスト

  • 物件の延べ床面積と構造と所在地の根拠資料を準備する
  • 解体範囲と付帯物と整地仕様を仕様書に明記する
  • 石綿調査者の資格と調査結果報告書の様式を確認する
  • 建設リサイクル法の届出控と受付印を確保する
  • 特定建設作業の届出控と現場標識の内容を統一する
  • 電気とガスと水道の停止日と撤去立ち会いを確定する
  • 道路使用や占用の許可番号と有効期間を記録する
  • 産廃の委託契約書とマニフェストの運用手順を共有する
  • 近隣説明の配布文と連絡先と工期を掲示物と一致させる
  • 完了後の滅失登記で使う取り壊し証明の受領段取りを決める

届出は一つでも抜けると着工が延び、重機や職人の手配が再調整になります。工程表の最上段に締切日を置き、誰がいつ何を出すかを一枚で見える化するとミスが減ります。早期の調査と十分な説明と正確な書類管理を徹底し、余裕のある日程で安全に解体へ進めてください。

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